8Mar
バターを折りこんで作るクロワッサン。
作業時間も長いし、材料費のことも考えるとチャレンジする回数の少ないパンです。
パン教室の先生にとってもハードルの高いパンなのではないでしょうか。
ここでは生徒さんの質問をもとに、クロワッサンを作るときに失敗しやすい項目と改善方法について解説いたします。
折込作業の「準備」にクロワッサン作りの成功のカギがある
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修業時代、後輩にバター折込作業を教えていた時のお話です。
後輩の彼は非常に段取りが良く作業スピードも速い。そして何より丁寧。
にもかかわらず、彼の作るクロワッサン生地はどうも窯伸びがイマイチ。
ボリュームに欠けたクロワッサンになる。
どうしてだろうか?
私は不思議に思い、彼の作業工程をチェックしていると「あること」に気が付いた。
バターの準備を前日に行っていたのだ。
クロワッサンやデニッシュに使うバターは作業前にシート状にする。
バターは綿棒で叩いてコシを抜く。
業務用のシートバター(すでにシート状に成形されているバターのこと)も必ず作業前にパイローラーに通して腰を抜く。
そしてすぐに生地に折り込む。
ところが前日にバターの延ばし作業を行い冷蔵すると
バターの腰が戻るし、薄いのでバターがよく冷えて固くなり
折込途中に生地内で割れるのだ。
油脂割れしたクロワッサンはふくらみも悪く、パイ的な触感も損なわれ
バターロールのようなパン的な食感と内相になってしまう。
彼の段取りの良さが災いしたのだ。
クロワッサンに折りこむバターの準備は必ず「折りこむ当日・作業の数十分前」に行わなければならない。
私の経験上20分前がベスト。
パイではなくパンになってしまうクロワッサンの失敗原因
クロワッサンの失敗が続き、チーフシェフに注意され続ける彼は苦肉の策でバターを室温で柔らかくして折りこんだ。
ところがこれは逆効果。クロワッサン生地のバターは折込中にバキバキに割れて、クロワッサンの層はまったく失われる。
クロワッサンの断面は蜂の巣状が良いとされるが
バターを室温で柔らかくして折りこんだクロワッサンはバターロールのような緻密な内相になり
サクいパイらしい味は損なわれる。
これはなぜか?
バターは不可逆性物質であるということ。
一度溶けたバターを冷蔵すれば固まるけれど、伸展性が損なわれる。
折込作業中に生地内部で割れやすくなる。
(これに対して水は可逆性物質。低温で氷となり、溶けても性質がほとんど変わらない)
クロワッサンの折込バターは溶かしてはならない。
生地を優しく扱うという大きな勘違い
パン生地を扱う際に、「パン生地を優しく扱え」という言葉をよく耳にしますよね。
女の人がパン生地やパンに対して「この子」と言うのを私はよく耳にする。
まるで人間の子供を扱うような表現をする場合がある。
さて、ではパン生地を優しく扱うとは
子供の扱いのようにナデコナデコすれば美味しいパンが出来上がるのだろうか?
答えは「No」
人間に対する優しさとパン生地に対する優しさは異なる。
時にはしっかり叩いてガスを抜くことがパン生地に対して「優しい扱い」になることがあるのだ。
クロワッサンも同じ。腫物を扱うようにするとグレますよ。
クロワッサン作りのコツ まとめ
折込作業はシート状のバターと折込前のクロワッサン生地の固さが同じ程度になると成功します。
バターを柔らかくするぐらいなら生地を冷やしましょう。
バターの準備は必ず折込直前に行いましょう。
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以上クロワッサンの改善方法でした。