2Mar
バター不足に対応するパンレシピを考案してみる
バター不足が深刻だ。
値段が上がっているだけではない。
そもそもお店に並んでいないのだ。
スーパーに並ぶバターは塩を含む有塩バターだ。
あえて有塩バターを使用するクイニーアマンのようなお菓子パンを作るのならともかく
塩はパン生地の発酵に強く影響する材料なので、なるべくなら使用したくない。
マーガリンもトランス脂肪酸を多く含むので使いたくない。
では植物油はどうだ?
このエントリーでは、バターに代替えできる
パンに合う植物性オイルを模索してみることにする。
自然派のパン作りを指向する人はぜひ参考にしてほしい。
ちなみにこのコンテンツを制作するにあたり様々な書籍やホームページを参考にした。
記事の末尾に紹介しているので、それも参考にしてほしい。
固形油脂のココナッツオイル
お手ごろ価格のグレープシードオイル
パンには向かない亜麻仁オイル
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固形油脂のココナッツオイル
早速様々な植物性オイルを模索。
なかでもココナッツオイルが気になる。
理由は植物油のほとんどが液状であるのに対して
ココナッツオイルは固形油脂だからだ。
パンは液状油脂よりも固形油脂がよい。
固形油脂のほうがパン生地のグルテン形成を阻害せず
しなやかなパン生地を作れる。パンのボリュームもアップする。
さらにココナッツオイルは中鎖脂肪酸を多く含み、体内での分解燃焼が早く、体内脂肪として蓄積されにくい。
融点は25℃ぐらいでバターに近い。
店頭で確認するとお値段が…(苦笑)
バターの倍以上の価格。これは手を出しにくい。
また、海外にお住いの受講生様から貴重なアドバイスを戴いた。
ピュアやバージンだとココナツ臭が強く、料理に使うとトロピカル風になってしまうようだ
リファインされてる商品であれば無臭とのこと。
友人の料理人からも意見を頂戴する。
ココナッツミルクの缶詰を冷蔵庫に入れて一晩冷やすと油分の多い上面と水分に分離する。
上面は固形になるけど、ココナッツオイルよりは若干緩い感じになる。
1缶¥150位なので少量であればこちらの方がお手ごろ。
メーカーによって香料とか漂白剤入ってたりするけど、オススメはチャオコーというメーカーのココナッツミルク缶。だそうだ。
試してみる価値がある。
ポリフェノール豊富なグレープシードオイル。価格もお手ごろ。
植物性オイルはバターに比べるとどれもカロリーは高い。バターは1gにつき7~8kcal。植物性オイルは1gにつき9kcal。
しかし、コレステロールがほぼゼロになる。また、バターには微量しか含まれないビタミンEを多く含むのが植物性油の特長。
写真はグレープシードオイル。
グレープシードオイルはポリフェノールを多く含み、抗酸化作用があるため
加熱調理にも強い。パンにも使えそうだ。
パンには向かない亜麻仁オイル
亜麻仁油。一番絞りの商品名に心惹かれるのですが
パンに亜麻仁油は使えるのか? 答はNo Good。
亜麻仁油は不飽和脂肪酸の中でもα-リノレン酸を多く含みます。
α-リノレン酸は青魚に多く含まれ、更年期対策・アレルギー対策や美容効果、コレステロール低下効果があるとされ、サプリメント商品の成分として有名。
しかし、α-リノレン酸は酸化しやすい成分であるため、亜麻仁油は加熱せずに生で食べることが勧められている。
亜麻仁油はサラダのドレッシングに配合するのは適しているが、加熱するパンには向かないようだ。
酸化した油はかえって体によろしくない。
植物油はなんでも体に良さそうに思えるけど、使い方を間違えると、健康に良いどころか、逆効果にもなることがある。
扱いたい料理に適しているかよく理解して使う必要がある。
パンにも使えるアボガドオイルはコレステロール減少効果あり
アボガドオイルなるものも発見した。
アボガドは森のバターと呼ばれるほど果肉に脂質を豊富に含む。醤油つけて食べても美味しい。
アボガド果肉から抽出した油とのことでグレープシードよりは想像しやすい。
さて、肝心の製パン適応判断ですが
抗酸化成分を多く含むとのことで加熱調理には問題なさそう。
成分もオリーブオイルに酷似している。
参考にしたwebサイトURL:アボガドワールド
なかでも気になるのがアボガドオイルの成分に多く含まれるβ-シトステロール。
β-シトステロール (β-sitosterol) は、植物ステロールの一種で
コレステロールに類似した化学構造をもつ…
日本では、β-シトステロールを含有する油含有食品が
特定保健用食品として「コレステロールが高めの方に適する」などの表示の許可を取得している。
参考・引用元:wikipedia 「β-シトステロール」
オリーブオイルはその強烈的な個性ある味で
パン生地に配合するとフォカッチャを代表するイタリアパンみたいになりがちだ。
アボガドならばもしかしてオリーブオイルとはまた一味違ったパンになるかもしれない。 気になる植物性オイルの一つです。
参考にした書籍とホームページ
「パティスリーのためのバター不足対応レシピ」
珍しく店頭で購入した書籍。立ち読みだけで済まそうと手にとったのですが、内容の濃さを確認できたのでそのままレジに直行した。
帰宅後、Amazonで確かめると発売したばかりだったみたいだ。
私は化学的なアプローチをするレシピ本がとにかく好きだ。
写真もなるべく少なく活字が多いほうが良いと考える。(つまり写真集みたいなレシピ本が嫌いなのだ)
私もバターが手に入りにくくなっているのでどうしたものかと悩んでいた。
この本の著者はパティシエ。レザネフォール 菊地 賢一シェフ。
パンよりお菓子屋さんの方がバターは重要な素材だ。
なのでバターから植物性油脂に代替えするのはブーランジェよりも苦悩するだろう。
にもかかわらず植物性オイルでのアプローチをいち早く書籍に。リスペクトです。
僕もじっとしておられんわ。新しいパンレシピ考えようと思った。
植物性油脂はバターと比較すると可塑性がない面で製パン性は劣る。
けどなにより植物性オイルは不飽和脂肪酸を多く含むのでそろそろ生活習慣病のこと気になるお年頃の僕にとっては選ばない理由はない。
いろいろイメージ湧かせていただきました。感謝の意こめてご紹介いたします。
パティシエ。レザネフォール 菊地 賢一シェフの
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