1Aug
フランスパンのクープが開かない主な原因のひとつは捏ね不足にあります。
フランスパンはバターや砂糖など副材料をほとんど配合せず
小麦粉と水と微量のイースト、と麦芽糖、そして塩という極めてシンプルな材料から成り立ちます。
このシンプルさが故、小麦粉の風味が引き立ち
焼き上がった時の感動は他のパンに類を見ません。
ところがどういうわけかこのシンプルさがある迷信を生みだしました。
それは
「過度なミキシングを行えば小麦粉の風味が飛び、フランスパン本来の旨味を失ってしまう」
という迷信です。
この過剰なまでの言い伝えはおかしな誤解を生み出し、
今日バゲットを愛してやまないホームベーカーたちが美味しいバゲットを作る妨げになっているのです。
そして何を隠そうこの迷信はパン職人がうちたてたものであると私は知っています。
なぜそう断言できるのかと言いますと私も一度は騙されていたのですから。
この迷信は残念ながら、つい最近自宅でパンを作ることに目覚めた初心者の方々達の耳にも届き
クープが開かない、気泡膜の潰れたバゲットが作られる原因となってしまっています。
本来どの程度が過度なミキシングなのか理解していない人に対して
過剰なまでに「生地は優しく扱いなさい」と言い続ければ
まるで腫れものにさわるような扱いになり、適切な扱いがなされず
水と粉の練りものが少しだけ熱膨張した微妙な味のフランスパンを作らせる結果になっているのです。
もし心当たりがありましたら、まずどの程度が捏ね過ぎなのか?理解する必要があります。
でもその答えを知るのは簡単です。
それは思い切ってどんどん捏ねてみれば良いのです。
捏ねて捏ねて捏ねまくる。
大丈夫です。叱る人は誰もいません。
そうして出来上がったパンを食べて確かめてみてください。
予想に反して美味しくなったことに気がつくはずです。
ご安心ください。
家庭用のパン捏ね機(ニーダーやフードプロセッサー、ホームベーカリーなど)で過剰なミキシング状態になるには相当の根気が必要です。
まずは思い切って捏ねましょう。
フランスパンのクープが割れない原因その②